昨日は、こちらの本を読みました。
Amazonのページから概要を引用します。
働いても働いても幸せが遠のいていくように感じるのはなぜなのか。
金銭換算しにくい価値は失われるしかないのか。
「時間との戦い」は終わることがないのか。
この生きづらさの正体は何なのか。経済を目的にすると、人が手段になる。
JR中央線・乗降客数最下位の西国分寺駅――
そこで全国1位のカフェをつくった著者が挑戦する、
「理想と現実」を両立させる経済の形。
全国1位のカフェ「クルミドコーヒー」をつくった影山知明さんの著書。
私自身、1ヶ月前に一般社団法人を設立し、まさに「理想と現実」の間で、もがいている状況なので、どんぴしゃのテーマの本です。
興味深い話しがいっぱい書いてあったのですが、その中でも目からウロコだったのが、「投げ銭システムの罠」。
今日は、これについて書いていきます。
投げ銭システムが、うまくいったと思ったら。
最近は、オンラインライブなども流行ってきて、YouTubeでも「投げ銭」ができたりします。
主催者側は、「このライブに満足したら、投げ銭していってねー」と呼びかけて、観客側が、自分の好きな金額で投げ銭するというシステム。
500円を投げ銭する人、1,000円の人、3,000円の人など、人によって違う。
この本では、カフェでコンサートをやった事例が載っていました。
1,500円という目安の金額を伝えて、
それ以上の金額を投げ銭してくれる人が多くて、一見うまくいっていたとのこと。
ただ、そこには罠があった。
「投げ銭してくれる人が多い」って、どう考えてもうまくいってそうなのに、どんな罠でしょうか?
実は、投げ銭システムが災いして、 定員がいっぱいにならない、口コミが増えない、結果としてこのコンサートが広がらなかったそうです。
口コミが増えたり、リピートしたりするのは、「健全な負債感」から来る。
つまり、式にするとこんな感じです。
満足度(受け取ったもの) > 支払った金額
金額以上のものを受け取ってしまったので、何か返さなきゃという「返礼」の気持ちが芽生える。
それにより、口コミで友達に紹介したり、またコンサートに訪れたり、何らかしらの行動で「返礼」する。
これが、投げ銭システムになると毎回精算されてしまっていたことが、原因。
満足度(受け取ったもの) = 支払った金額
「消費者的な人格」と「受贈者的な人格」
お客様には「消費者的な人格」と「受贈者的な人格」がいると言います。
これらは別々な人ではなく、1人の人間に共存するもの。
どういうことでしょうか。
まとめてみると、
- 消費者的な人格 : より少ないコストで大きいモノを得ようとする。「テイク」中心。
- 受贈者的な人格 : 相手から受け取ったものが大きく、返礼の気持ちが芽生える。口コミしようとか、リピートしようとか、返礼の気持ちからアクションする。「ギブ」中心。
これを読んで、私の中にも、この2つが共存していると感じます。
クーポンとかポイントカードとかは好きだし、それでお得感を得ながら、いかにコストパフォーマンスを上げていくか。
少ない金額で、大きいものを得たときの喜びは大きい。これは消費者的。
一方で、そんなこと全然考えずに、いいものをお店から受け取ったので、何かしら返したくなって、SNSでシェアしたりということもあります。これは受贈者的。
大切なのは、サービス提供者側(本の中ではカフェ)が、どちらのお客様を望むかどうか。
受贈者的なお客様を望むのであれば、クーポンやポイントカードはしない方が良い。
そして、いかに「贈る」ものを大きくするかに知恵を絞ったほうがいい。これは、お客様の性質ではなく、サービス提供者側のふるまいであり、デザインの設計による。
ちなみにクルミドコーヒーでは、くるみを「おひとつどうぞ」という感じで、テーブルに置いてあるそうです。
この、くるみの減り具合が、お客様がどれくらい「受け取っている」と感じているかのバロメーターになっているそうです。
受贈者的な人格をお客様に望むのであれば、お客様と提供者側がフラット(対等)であることも大切。
ちょっとした声がけや、ふるまいでも、ここは変わるなーと思いました。
たとえば、お客様を「お客様」と呼んでしまうと、消費者的になるので、別の言葉(例:〇〇パートナーとか)を使うとか。
この本からの学びが大きくて、もっと読み込みたいと思います。
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