こんにちは、Natsumiです。
みなさんは、尾原 和啓さんを知っていますか?
尾原さんは、マッキンゼー、Google、リクルート、楽天など、ITプラットフォームビジネスに携わってきた方。
現在は、インドネシア・バリ島在住。世界中を飛びまわり、ITビジネスにおけるアドバイザー・監査役・IT批評家として活躍。
著書に『ITビジネスの原理』、『ザ・プラットフォーム ― IT企業はなぜ世界を変えるのか?』、『モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書』がある。
そんなITのプロフェッショナルである尾原さんが先日Twitterで絶賛されていた本が、『ITナビゲーター 2019年版』です。
そのときのツイートがこちら。
これをキッカケに、さっそく『ITナビゲーター 2019年版』読んでみました。
尾原さんに公開講座もやっていただきたいですね。
~こちらは、Amazonの説明文より~
2024年に向けてIT市場で何が起こるのか。「5G」によって加速するデジタル変革のなか、何を守り、何を捨てるのか?
eスポーツからxTech市場の広がりまでを徹底予測!
本書では、デバイス、ネットワーク、コンテンツ配信、プラットフォーム、xTechの各市場に分けて、30以上のテーマを網羅している。IT市場の構造変化を見通し、事業戦略や新たなビジネスモデルの可能性を考える際の指針となる一冊。
『ITナビゲーター 2019年版』は、野村総合研究所が毎年行っているITの市場予測と分析。
ニュースリリース:野村総合研究所、2024年度までのICT・メディア市場の規模とトレンドを展望
NRIメディアフォーラムでの発表資料(86ページ)も各市場の予測データが入っており参考になります。
「デジタルトランスフォーメーション」「5G」「xTech」とは?
まず、この本の核となっている3つの言葉「デジタルトランスフォーメーション」「5G」「xTech」の説明をさせてください。
・デジタルトランスフォーメーション(DXまたは、デジタル変革)とは
デジタル技術を活用して、企業経営やビジネスモデルの変革をすること。
たとえばUberやAirbnbに代表されるように、IoT、AIなどのデジタル技術を活用して、大量のデジタルデータの創出、シェアリングエコノミーなど変革の事例が多く生まれている。
こちらの図にあるように「経営理念・哲学」がコアになり、「デジタル技術」を組み合わせることで、「デジタル変革」が生まれる。
・5G(第5世代移動通信システム)とは
2020年代の情報社会では、移動通信のトラフィック量は2010年と比較して1,000倍以上に増大すると予測されています。
5Gは、このような爆発的なトラフィックの増大に耐えうるネットワークシステムの大容量化を、できるだけ低コスト・省消費電力で実現することを目標としている。5Gがデジタルトランスフォーメーションを加速すると言われている。
・xTechとは
デジタルトランスフォーメーションは、いままで変革が厳しかった産業にも広がっている。
「xTech」は「クロステック」「エックステック」と呼ばれ、◯◯ x Tech(テクノロジー)の造語。
◯◯には産業名などが入り、デジタルテクノロジーを活用して産業を変革することを意味する。
たとえば、一番有名なのが、FinTech(フィンテック)。
Finance(金融)×Technology(技術)の2つの言葉を組み合わせた造語です。
日経もIT関連のオンラインメディアを、xTechに特化した「日経 xTECH」というオンラインメディアに、今年リニューアルしています。
※日経 xTECH
テクノロジーの進化によって様々な業界の境界(クロス)領域で新たなビジネスが続々と誕生する今、どこの誰と、どう組めば新たなチャンスを掴むことができるのか。日経 xTECHは、 ITから製造、自動車、建設まで、今をえぐり、一歩先を照らす情報をお届けしている。
8つのxTechとは?
「ITナビゲーター2019年版」は、8つのxTechについて動向分析と市場予測を行っています。
1.FinTech(金融)
2.RetailTech(小売)
3.AdTech(広告)
4.AutoServiceTech(自動車関連サービス)
5.EdTech(教育)
6.HealthTech(ヘルスケア)
7.SporTech(スポーツ)
8.AgriTech(農業)・AquaTech(漁業)
それぞれを簡単にまとめていきます。
1. FinTech(金融)
FinTech(フィンテック)とは「Finance(金融)×Technology」の造語。
FinTechで一番有名なものは、スマートフォンなどの「モバイル決済」です。
従来は、お店などに設置されたカード機を使用してクレジットカード決済を行いますが、
モバイル決済は、スマホを読み取り機にかざすもしくは専用機を取り付けるだけで決済が出来ます。
FinTechの領域は、多岐にわたるが、このうち決済・送金分野(スマートペイメント市場)、貸付・与信分野(スマートレンディング市場)、証券・保険分野(ロボアドバイザー市場およびIoT保険市場)、会計・家計管理(会計管理サービス市場)を対象に分析されています。
このなかで個人的に注目しているのが、やはり「モバイル決済」=キャッシュレス化。
最近は、ソフトバンクとヤフーのジョイントベンチャーであるPayPayが「100億あげちゃう」キャンペーンを実施して、話題になりました。それ以外にも、メルカリが子会社であるメルペイを立ち上げ、単なるモバイル決済にとどまらず、個人の信用をスコアリングする「信用経済」への動きも始まっています。
2.RetailTech(小売)
RetailTech(リテイルテック)とは「Retail(小売)×Technology」の造語。
小売や物流・倉庫などの流通関係にIT技術を導入することを指します。こちらの代表格はAmazonですね。
特に物流業界では、効率的な配送や再配達システムなどで、もともと高度な技術が使われていました。
ビッグデータやAIなどの新しい技術を取り入れ、更なるサービスを生み出しています。
ここ最近では、ヤマト運輸が再配達サービスをLINEで出来るようになりましたが、これもRetailTechの1つです。
個人的にはトライアルカンパニーさんの事例が、とても面白いと思っています。
地方を中心にスーパーを展開している会社で、デジタル変革に積極的です。
・カートにセルフレジ機能
・700台のカメラで店内の顧客の動きをモニターし、データ収集、ビッグデータ活用
・スマートレジでリコメンド
・夜間無人スーパーを開店(QRコードで入店)※参考記事はこちら
など、ITの最先端をいく取り組みは、とても勉強になります。
3. AdTech(広告)
AdTech(アドテック)とは「Advertisement(広告)×Technology」の造語。
インターネット広告の配信技術や広告流通技術を使い、「ITテクノロジーを駆使した広告領域全て」を指すことが多い。これまで手動でおこなっていた作業が自動化されて、より効率的なマーケティングができるようになっている。
プログラマティック広告とは、複雑になりがちな広告取引を自動化する方法です。 リアルタイムのお客さまの行動にもとづいてオーディエンスや地域、デバイスなどのターゲティングを自動化でき、広告配信を迅速かつ的確におこなえます。
4. AutoServiceTech(自動車関連サービス)
AutoServiceTech(オートサービステック)とは「AutoService(自動車関連サービス)×Technology」の造語。
自動車を用いたシェアリングモビリティサービスのうち、高度化したITの活用により、近年普及が著しい法人型カーシェア、および、ライドシェアと呼ばれる2つのシェアリングモビリティサービス。一番有名なのが、Uber(ウーバー、タクシー配車アプリ)です。
Uberでは、ドライバーをスコアで評価することができるのが、トラブルを最小限におさえている秘訣だと思います。「行き先をドライバーに伝えなくていい」「その場で支払いしなくていい(アプリ経由でカード払い)」など、一度使ったら費用も安いし、その便利さに感動しました。
5. EdTech(教育)
EdTech(エドテック)とは「Education(教育)×Technology」の造語。
パソコン(タブレット端末を含む)、スマートフォン、各種メディアプレイヤー、その他専用端末を利用した学習コンテンツを主とし、学習管理システムのほか、プラットフォーム提供サービスや、これらに付随するサービス。
教育業界にはITの普及が遅れています。2020年に商用化される「5G」によって大容量のコンテンツが配信できるようになることもあり、今後の市場拡大に注目が集まっている。
2020年度に向けた文部科学省の「教育の情報化ビジョン」では、すべての学校で1人1台の情報端末を利用するとなっている。まだEdTechには明確なリーディングカンパニーはいないが、たとえば学習SNSを展開するスタディプラスなどがあります。
6. HealthTech(ヘルスケア)
HealthTech(ヘルステック)とは「Health(ヘルスケア)×Technology」の造語。
機器・デバイス、ICTソリューションを利用した医療、介護、ヘルスケア、スポーツ向けの機器、ソリューション・サービス。IoT、AIなどを利用した医療従事者向けの新たなソリューション・サービス(診断支援他)、ウェアラブルデバイスによるセンシング関連サービスなど。
東京オリンピックや、高齢者社会がさらに進むなかで注目の市場です。2018年の市場規模が80億円に対し、2024年の予測が580億円となっています。たとえばウェアラブル端末のFitbitは、生活習慣の記録ができるということでヒットしています。
7.SporTech(スポーツ)
SporTech(スポーツテック)とは「Sports(スポーツ)×Technology」の造語。
インターネットを介したスポーツ関連の動画配信とIoTを活用したスポーツ関連の用品やサービス。
こちらも東京オリンピックがあり、注目の市場です。2018年の市場規模が180億円に対し、2024年の予測が1610億円となっています。
動画配信には、インターネットを活用したスポーツ中継と動画配信が含まれるほか、IoT機器から得られるデータやVRなど各種端末を活用した、より付加価値の高い動画配信サービスなどを含む。
IoTを活用したスポーツ関連の用品には、たとえばセンサー搭載のラケットやバットのスイングスピードを計測できるスポーツ用品や、身体の動きを把握計測し、そのデータをスマートフォンへ送信できるシューズなどの各種用品や機器を想定している。また、IoTを活用したスポーツ関連のサービスには、たとえばセンサーなどで身体能力やトレーニング状況を計測できるトレーニングサービスや、遠隔によるパーソナルトレーナーなどのサービスが含まれる。
最近話題になっている「eスポーツ」はこのSportechの領域かどうかは明言はありませんでしたが、世界的に注目です。
eスポーツとは、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使ったスポーツ競技のこと。アメリカではすでに、国が「eスポーツ」を「スポーツ」として認めており、「プロゲーマー」が「スポーツ選手」であることを認めています。また、韓国や中国でも「eスポーツ」が非常に発展していて、市場規模も日本とは桁違いになっています。
8.AgriTech(農業)・AquaTech(漁業)
AgriTech(アグリテック)とは「Agiriculture(農業)×Technology」の造語。
AquaTech(アクアテック)とは「Aqua(漁業)×Technology」の造語。
AgriTech・AquaTech市場とは、生産者が直接利用し、クラウドに接続することで実現するサービス。
日本では、農業の人手不足が深刻な問題になっています。2018年は大手農機メーカー・クボタによる自動運転トラクターをはじめとするロボット農機の本格的な市場投入がはじまった。
アグリノートという、農地の管理や作業履歴、栽培管理票の作成などをデジタル化するサービスも一例。
一方、漁業のデジタル化は殆ど進んでいないが、2024年には30億円の市場規模と言われています。
たとえば養殖支援で、自動で餌やりをし、生育状況をモニターするサービス。流通面では、直販プラットフォームが伸びてくると予測されています。
先日のニュース記事で「観光客が釣った魚がクーポンに 市場も地域もハッピー」というのを読みました。
観光客が釣った魚を市場が買い取り、価値に応じて周辺の飲食店や土産物屋で使えるクーポンを発行する取り組みです。このような例が増えてくると面白いですね。
ヨーロッパのキャッシュレス化は、早い。使用した事ないけどカートにセルフレジは、見たことある。老若男女関係なくITを上手に活用してる気がします。
なるほど、日本は遅れてるんですかねー、がんばるぞ日本!