今日は、こちらのイベントに参加しました。
最新の学術研究に裏打ちされたワークショップデザインの方法論を駆使しながら、集団の創造性を引き出し、複雑な課題解決のプロジェクトをファシリテートする、ミミクリデザインの安斎さんのセミナー。
新刊である『問いのデザイン: 創造的対話のファシリテーション 』をテーマにしたセミナーでした。
どういう内容になるのかな? と期待していました。
ワーク的なこともあり、ふだん使わない頭を使うこともあり、おもしろかったです。
セミナー中に描いたグラレコで振り返っていきたいと思います。
「問いのデザイン」とは?
みんなでミーティングをしていても、良いアイデアが出ない、盛り上がらないのは、ファシリテーターが悪い訳でも、参加者が悪い訳でもない。
「問い」がうまくデザインされていないことが大半だといいます。
例えばとして挙げられていたのが、
「AIを使ったカーナビを作るには?」という問い。
これだと、AIありき、カーナビありきで、認識が固定化されてしまい、良いアイデアが生まれない。
なんのためにカーナビを作るのか?
それを深堀りしながら、「問い」を再設定することが大切。
新しい切り口(視点)で問題を見ながら、対話を生み出す「問い」をデザインすること。
「問いのデザイン力」を鍛える6つの手法
では、どのように「問いのデザイン力」を鍛えていくか?
問いをデザインするための技術と感性を鍛えるポイントとして、9つの手法がある。
今日はその中から、6つの手法が紹介されました。
- 異化
- 転換(目標のリフレーミング)
- 類推
- 不滅
- 本質
- 矛盾
それぞれを見ていきます。
異化
初めて聞く言葉でした。
「異化」とは、
慣れ親しんだ日常的な事象を、奇異で非日常的なものとして表現する方法。
安斎さんは、「異化」とは、「あたり前」と思っていることを、大げさに捉え直すことと言っていました。
たとえば、自己紹介のときに「35歳です」というのは、「あたり前」。
これを、「一般的な測定方法で言うと、35年間になります。」という表現をするだけで、異化になる。
ここでは、「モナリザ」を異化するワークもありました。
- 「モナリザの手って、右手が上?左手が上?」
- 「モナリザを、どのように見る?」
こういう見方をしたことが無かったので、おもしろい。
「異化」の対象として、自分、他者、社会それぞれの「あたり前」を捉え直す。
また、歯磨きなどの「あたり前」=日常のルーティンを、3つの層で捉え直してみる。
- Why 「なんのためにしてるか?」
- What 「何をしているか?」
- How 「どうやってしているか?」
「あたり前」を捉え直してみる。
転換
次に、「転換」。
「目標のリフレーミング」という表現をされていました。
目の前の物事を、別の視点で捉え直してみる。
いくつか、転換(リフレーミング)のやり方があって、
- 利他的に考える
- 前向きにとらえる
- 動詞にする
- あえて規範外にする
このなかの「動詞にする」の例で、ビールの話しがありました。
「ビール」を、「動詞にする」とどうなるか?
飲む、語る、集うなど。
「ビールをどのようにイノベーションするか?」という問いでなく、
「飲む、語る、集うをどのようにイノベーションするか?」という問いに転換できる。
この問いに転換することで、良いアイデアが生まれるようになる。
類推
「類推」とは、一見異なるものに類似性を見つけること。
つまり、物事を抽象化することと理解しました。
先ほどの「ビール」の例だと、「ビール」と似てるものはなんだろう?と類推してみる。
「集う」という意味では、「タバコ」が似てるとか。
ここで、ミミクリデザインさんがしているミミクリゲームが紹介されました。図のように、AとBに何かをおいて、その真ん中のものを考えるゲーム。
A:サッカー B:トマト だったら、何が間に入るか?
たとえば、
- サッカー → キックボクシング (蹴る)
- 赤のサンドバックのキックボクシング → トマト(赤の共通点)
不滅
「不滅」とは、なくしたいとか、なくなりそうなのに、なくならない物。
たとえば「罪悪感」。
5W1Hで考えて、分解していく。
- なぜ、罪悪感が生まれるか?
- どんな、罪悪感があるか?
- いつ、生まれるか?
- 誰が、持つか?
- どこで、生まれるか?
- どうやったら、無くすことができるか?
本質
ある物事について、「これが本質かもしれない」と思える共通理解を洞察する。
たとえば、「観光の本質とはなにか?」
この問いの答えは、「非日常」となるのであれば、「非日常」と「日常」の違い、境界線を定義する。
どうなったら、日常で、どうなったら、非日常なんだろう?
具体的な例をイメージしてみる。
矛盾
さいごに「矛盾」。
矛盾するキーワードを組み合わせて、問いを考えてみる。
「負けるが勝ち」とは?
「かっこいい寝言」とは?
「問いのデザイン力」は、筋肉のように鍛えられると言っていました。
今回ご紹介いただいた手法を持っておいて、それを練習しながら、鍛えていきたいです。
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