『ワークデザイン – 行動経済学でジェンダー格差を克服する』

こんにちは、Natsumiです。

 
本日は、勝間和代さんが「衝撃」と仰っていた、こちらの本のお話です。
『ワークデザイン – 行動経済学でジェンダー格差を克服する』イリス・ボネット

 
みなさんは日本での「女性活躍推進」は、まだまだ進んでいないと思われますか?
私は、一企業に働く人として、やっぱりまだまだ進んでいないなと実感しています。

 
その大きな要因が、私たちが無意識にもっている「バイアス」にあるようです。
ハーバードの女性行動経済学者であるイリスさんが、この「バイアス」を豊富な研究データから明らかにし、具体的な解決策である「行動デザイン」を提案されています。

 
「ダイバーシティ」「女性活躍推進」に興味があるかたは、本当にオススメです。

 
私も、先日のダイバーシティイベントで、改めて「女性活躍推進」について考えました。
この本には、”目からうろこ” の情報や、ヒントがいっぱいありました。
たとえば、単なる「ダイバーシティ研修」は効果がないとか、オフィスの肖像(ポスター)を変えるだけで効果がでる、ということとか。

 
この本のメッセージですが、
「ジェンダーの不平等は、行動デザインで緩和できる」
ということ。
 

この本を読んで、日々感じていたモヤモヤをすこし整理できた気がします。
自分なりに、こちらの3つのテーマで本の内容をまとめてみますね。
 
・ほんとうに”男女平等”なのでしょうか?
・大切なのは「DESIGN」の3要素、そして「ロールモデル」
・「女性枠」は効果があるの?

 
 

ほんとうに”男女平等”なのでしょうか?

 

先日の「ダイバーシティ」イベントで「女性活躍推進」について話をしていました。

 
かなりストレートに表現しなおしていますが、
ざっくり言うと、こんな感じで思っている人が多いのでは、と感じました。

 

“男女平等” なのは当たり前。そんなの今さらじゃない?
こんなに”男女平等”になっていて機会もあるのだから、昇進しない女性が問題なのでは?
ほら、世界に目を向けてみたら、女性リーダーがいっぱい活躍しているでしょ。

こう受け取ってしまうこと自体が、女性としてバイアスかかっているのだと思いますが、モヤモヤしました。
私も”男女平等”というのは、昔に比べればあたりまえになってきていますし、自社で不平等を感じることはないです。
決して「女性に平等な権利を!」と叫びたいわけでもありません。

 
ただ気になるのは、「”男女平等”の機会をあたえるだけでは、女性リーダーが増えていない」という問題なのです。
 
ここでいう”男女平等”の機会というのも、ざっくりしていますが、
 
・女性だから評価が下がる、ということはない
・女性だからできない、と定められているポジションはない
・女性にとって働きやすい環境がそろっている(在宅勤務や、リモートワーク、フレックス制度、産休、育休など)
 
こんなところだと思います。
たしかに、昔にくらべればよくなっていますよね。特に3つめは、だいぶ良くなってきていると感じます。
 
・ダイバーシティ(多様性)は、重要だよね
・男女平等は、あたりまえだよね
ここまではズレがないので、これより深い話がしたいのです。

 
・ダイバーシティ(多様性)は、重要だよね
・男女平等は、あたりまえだよね
・でも、女性リーダー(管理職)が増えていないよね
・何でなんだろう?もっと増やすにはどうしたらいいんだろう?

 
この本には、こんなモヤモヤへのヒントがいっぱいありました。

 
 

大切なのは「DESIGN」の3要素、そして「ロールモデル」

 
D = データ (Data)
E = 実験 (Experiment)
SIGN = 標識 (Signpost)

 
D = データ (Data)

    すべてはデータを集めることから始まる。
    この5年間で、男女それぞれ何人を採用しましたか?何人が昇進しましたか?どんなポジションですか?
    その方々のお給料はいくらですか?役員の女性比率はどれくらいですか?管理職の女性比率は? などなど。
    やはり主観で話すだけではなく、客観的なデータが重要ですよね。

 
E = 実験 (Experiment)

    そのあとは実験。どんな行動デザイン(活動)をして、どれくらい効果があったかを測る。
    たとえば、このあとに出てくるポスターを変えるというのも、それをやる前と後で、データがどう変わったか?
    をみていく必要がありますね。

 
SIGN = 標識 (Signpost)

    人が行動するときには「標識」が重要とのこと。
    たとえば、オフィスの壁に貼ってある肖像ポスターが男性だけになっているだけで、女性リーダーの数が減る。
    人の思考はすぐに変えられないので、行動デザインを変えるために「標識」を変える。

     
    オフィスだけではなく、社内外のWebや、イベント、広報活動に積極的に女性の「ロールモデル」を参画させるのは効果がありそうですね。
    それが男性ばかりだと、女性が無意識に「女性は活躍できない」「女性はリーダーになれない」と思ってしまう。
    よくイベントでも、男性役員ばかりが登壇しているのを目にしますが、ここにひとつの問題がありそうです。

     
    政治家のような目立つ人の発言も、重要のようです。
    「女性の割合が低い」と言うのではなく、たとえば「女性管理職比率が3割以上の、企業が半数を超えました」とか、
    ポジティブで、大多数がやっているというメッセージを発信することが効果が高いようです。

 
 

「女性枠」は効果があるの?

 
・少数派のしきい値。チームの「3分の1」、「3人」以上を超えること

 
まず考えるべきは、少数派の「数」のようです。
同質的なチームの中に、ほんの少数の違う人材が入ってもダイバーシティ(多様性)はうまくいかない。
 
たとえば男性10人のなかに女性1人だと、バイアスがかかって、女性が意見しづらい、女性の意見が受け入れられづらい。
ダイバーシティを成功させるには、少数の割合が3分の1、絶対数で3人以上という「しきい値」を超える必要があるとのこと。

 
これはデータとして証明されていることなので、この「しきい値」を意識してチームをデザインするのが良いですね。

 

・クオータ制とは?
 
議員や会社役員などの女性の割合を、あらかじめ一定数にきめて積極的に起用する制度のこと
この言葉ははじめて知ったのですが「女性枠」=「クオータ制」なのですね。

 
これは「逆差別」じゃないの?とか、男性社員からすると「自分たちのポジションが減るのでは?」とか、
「そもそも候補がいないんじゃない?」とか、ツッコミが想定されます。

 
たしかにそのツッコミは理解できるのですが、わたしは「女性枠」は大賛成です。
なぜなら「一気に変革をすすめる効果がある」からです。
あくまでも「卵が先か、ニワトリが先か」という話であって、具体的な効果がでている事例が、いくつかこの本にものっていました。

 
・インドで「女性枠」が成功した事例
 
1993年に法律がきまる。農村の村議会への議員の3分の1を「女性枠」とし、
また選挙をするごとに、全国の村議会の3分の1を「女性枠」とした。
→ 150万人をこえる女性が村議員にえらばれた。

 
・ノルウェーで「女性枠」が成功した事例
 
2003年に法律がきまる。上場企業の取締役の少なくとも40%を女性とする。
→ 取締役がふえるだけではなく、女性幹部社員の割合もふえた。

 
もちろん、このような変革が伴う活動は、合意を取っていかなければいけないので、
そもそも、ほとんどが男性であるトップマネジメント層、ミドルマネジメント層に、「女性活躍推進」の重要性をわかってもらう必要があります。
 
ここに大きいジレンマがありますが、「大きな変革は小さな一歩からはじまる」、そう信じてすすんでいきます。

 

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