最近、資本主義社会で当たり前となっているギブアンドテイクの考え方以外で、「お金では買えないもの」の価値を考えることが多いです。
この「お金では買えないもの」の移動を、「贈与」と定義した本が話題となっています。
『世界は贈与でできている』
「贈与」をテーマにした哲学の本で、すごくおもしろいです。まだ自分のなかで腹落ちしきってないのですが、継続的に考えていきたいテーマだなと思っています。
「贈与」とは何か?
noteに本の一部が公開されています。
そもそも、「贈与」とは何か?
お金で買えないものとは何であり、どのようにして発生し、どのような効果を僕らにもたらすのかが分かっていない。だから、常識に反するように思われるのです。
本書では、このような、僕らが必要としているにもかかわらずお金で買うことのできないものおよびその移動を、「贈与」と呼ぶことにします。
そして、僕らはお金で買えないもの=贈与のことがよく分かっていません。
資本主義の「すきま」を埋める哲学──『世界は贈与でできている』#1
こうも書かれています。
先ほど、家族や友人、恋人など、僕らにとって大切な人との関係性はお金では買えないと述べました。そして、そこには贈与の原理が働いているとも。
だから、贈与に関する新しい言葉と概念を得て、贈与の原理を知ることで、行動と生活が変わり、僕らにとって大切な人たちとの関係性が変わるのです。
まったく新しい関係性になるというのではなく、大切な人たちと出会い直すのです。贈与の原理。
言語の本質を明らかにしたウィトゲンシュタイン哲学。
この二つを理解することで、僕らはこの世界の成り立ちを知ることができます。
これが本書の目的です。従うべきマニュアルの存在しないこの現代社会を生きるためには、哲学というテクノロジーが必要なのです。
さらに、本書の議論を通して、「生きる意味」「仕事のやりがい」といった金銭的な価値に還元できない大切なものを、どうすれば手に入れることができるのかも明らかになります。贈与の原理と世界の成り立ちから、生きる意味へ。
資本主義の「すきま」を埋める哲学──『世界は贈与でできている』#1
では、始めましょう。
「お金では買えないもの」の例として、
- 人とのつながり
- 生きる意味
- やりがい
などが挙げられています。
これらが移動することが、「贈与」である。
「贈与」の差出人は、「届いてくれるといいな」という祈りを持って、贈与をする。
それを受け取る人は、そこに「お金では買えないもの」の存在、つまり「贈与」に気づく。そして、今度は自らが差出人となって、誰かに「贈与」をしていく。
本には、プレゼントの例が書かれていますが、たとえば1,000円のモノをプレゼントとして渡されたとしても、そこには1,000円以上のもの(お金では買えないもの)が乗っている。
そこに、「贈与」がある。
ミスチルの『Sign」を思い出した
まだ私の中で、「贈与」が完全に腹落ちしきってないのですが、さっきの「届いてくれるといいな」の言葉で、ミスチルの『Sign』という曲を思い出しました。
「愛」をテーマにした曲だけど、これを「贈与」のSignと捉えると、また違った響きがあるなーと、しみじみしていました。
届いてくれるといいな
君の分かんないところで 僕も今奏でてるよ
育たないで萎れてた新芽みたいな音符(おもい)を
二つ重ねて鳴らすハーモニー「ありがとう」と「ごめんね」を繰り返して僕ら
人恋しさを積み木みたいに乗せてゆくありふれた時間が愛しく思えたら
ミスチル『Sign』より
それは“愛の仕業”と 小さく笑った
君が見せる仕草 僕に向けられてるサイン
もう 何ひとつ見落とさない
そんなことを考えている
~
僅かだって明かりが心に灯るなら
ミスチル『Sign』より
大切にしなきゃ と僕らは誓った
めぐり逢った すべてのものから送られるサイン
もう 何ひとつ見逃さない そうやって暮らしてゆこう
「贈与」は、気づくところから始まる。
「贈与」のSignに気づくことが増えれば、幸せな気がするし、自分が「贈与」の差出人になることが増えれば、それも幸せな気がする。
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