最近、「幸せ」とは何か?
という本質的なことを考えています。
幸福学の前野隆司先生の『幸せのメカニズム』という本を読みました。
前野先生がおっしゃっているのは、世界70億人それぞれに、70億通りの幸せの形があり、多様であるということ。
「地球上の人類、七十億人が、七十億通りのやり方で、小さくてもいいから自分らしさを見つけ、その七十億分の一の個性を活かして、社会の中で自分らしく生きていくようなあり方」
幸福(well-being) 研究には、主観的幸福研究と、客観的幸福研究があります。
この本で主に取り上げられているのは、「主観的幸福」。
Well-beingという言葉は、最近よく聞くのですが、そのなかで必ずと言っていいほど目にするのがこのデータです。
一人当たりGDPは右肩上がりの成長を遂げてきている
でもWell-being(=生活満足度)は、ほとんど改善していない。
これは日本に限った現象ではなく、諸外国でも同様のパターンがみられるようです。なので、Well-beingが今まで以上に研究されるようになった。
これは、経済成長を最優先にする考え方が、ある意味で限界を迎えている。それとWell-being は比例しないことに気づいたことにあるようです。
物質的に豊かになって、勝ち負けの考え方から、格差が広がって、分断も広がっている。でも、Well-being はぜんぜん改善されていない。
長続きする「幸せ」とは何か?
前野先生の研究によると、自分は何が面白くて、何を求めているのかを、明確にわかっている人こそ、幸せな傾向がある。
幸福には、長続きする幸せと、長続きしない幸せがあることです。
- 長続きしない幸せ : カネ、モノ、社会的地位などの「地位財」
- 長続きする幸せ : 健康、自主性、自由、愛情などの「非地位財」
これを言い換えると、
- 長続きしない幸せ : 人と比較できるもの
- 長続きする幸せ : 人と比較できないもの
これは、イギリスの心理学者ダニエル・ネトルの『目からウロコの幸福学』で語られていること。
幸せになるための4つの因子
前野先生の研究によると、 この4つの要素(性格・行動特性)をちゃんと持っている人は、人生満足度とポジティブな感情が高く、ネガティブな感情が低い。すなわち、幸せな人だそうです。
- 「やってみよう」因子 : 自己実現と成長
- 「ありがとう」因子 : つながりと感謝
- 「なんとかなる」因子 : 前向きと楽観
- 「あなたらしく」因子 : 独立とマイペース
この4つをすべて持つ人が、一番幸せ度が高かったそうです。
最近アメリカなどで発展しているポジティブサイコロジー(幸せの心理学)では、PERMA(パルマ)というウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態。直訳は幸福)に至る5つの要素が挙げられています。
これと、この4つの因子は、ほぼ同じことを言っているとのこと。
「自己実現と成長」が無いと、幸せになれないのか?
この問いに対する前野先生の見解が、何度も何度も出てきていて、興味深かったです。
幸せ度が高い国として有名なブータンは、「自己実現と成長」というよりも、どちらかというと変化せずに平穏な生活をしているイメージがあります。
これは、勝手なイメージなので、実態は分からないですが。
もっと、本当に、平凡で、静かで、変化がなく、平穏無事な幸せもあるはずだ、というご意見もあるでしょうか。感動や共感や興奮もない。 坦々 と過ぎ行く日々。毎日同じことの繰り返し。心には、喜びもない。
しかし、悲しみも苦しみもなく平穏無事なら、これもひとつの幸せの形ではないか。 そうかもしれません。
ただ、その幸せは、「とても幸せ/かなり幸せ/やや幸せ/どちらでもない/やや不幸せ/かなり不幸せ/とても不幸せ」という幸せのアンケート調査では、「どちらでもない」か「やや幸せ」と答えるくらいの幸せでしょう。
「自己実現と成長」とは、他人と勝ち負けを競うものではなく、
自分自身が、昨日よりも今日成長していること。
毎日のかすかな変化を感じ取る心が大切。
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