こんにちは、Natsumiです。
みなさんは、USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)に行ったことはありますか?
わたしは、これまで2回行ったことがあります。
でも最後に行ったのが、ハリーポッターが話題になる前ですので、6-7年前になります。ある本で、USJがハリーポッターがヒットになる手前で、V字回復をしていた!というのは知らなかったです。
そのV字回復の立役者が、森岡毅さんです。
・森岡毅さんとは?
1996年にマーケティングで有名な、P&Gに入社。ブランドマネージャーとして日本ヴィダルサスーンの黄金期を築いた後、2004年 P&G世界本社へ転籍。
2010年にUSJに入社。チーフマーケティングオフィサー(CMO) 執行役員を務める。高等数学を用いた独自の確率統計ノウハウによる戦略理論と、多くの奇抜なアイデアで、経営難に陥っていたUSJを劇的にV字回復させた人物として知られる。
実は、森岡さんは『USJ再建を成し遂げ、使命を果たした』として2017年1月末にUSJを退社しています。
同年、有志と共に世界初のマーケティングノウハウのライセンシングカンパニーである株式会社「刀」を設立、代表取締役CEOに就任しています。
「マーケティングでV字回復を遂げた!」というのは、マーケティングをやっている身からすると、夢のような話です。
その森岡さんが、V字回復にともなう本を3部作として出されています。
私は3の『確率思考の戦略論』から読んでしまったのですが、実はこれが少々難解でした。やっぱり1から順番で読むのがいいよね、と思ったので、改めて読み直しています。
すべて読むと、ひと通りの森岡さんの理論(森岡メソッド)が、理解できそうです。
1. 『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』
お金がないならアイデアを振り絞れ!
後ろ向きコースター、ゾンビの大量放出、絶対生還できないアトラクション。
斬新な戦略を生むイノベーション・フレームワークとは?
今日のブログでは、こちらの本にフォーカスしています。
2. 『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』
これはマーケティング入門で、マーケティングでどうビジネスに貢献するか?ということが書かれている。マーケティング担当者ではなく、むしろ他のビジネス部門に関わる人向けに読んでほしい。
3. 『確率思考の戦略論』
数学マーケティングについて書かれている。
これはマーケティングに関わる人や、数字でビジネスに関わる人に読んでほしい本。
なぜハリーポッターの新アトラクションに450億円もの投資をできたのか?
確率論で、ホームランを当てにいっていたと聞くと、なんでそんなことができたのか?気になります。
テーマパークは究極の「集客ビジネス」である。
エンターテイメントなので、景気が悪くなると来る人が減ってしまう。
いかに長く来てもらえるテーマパークにするか?というのが重要。
この考えは、他の小売や、オンラインのビジネスなど、あらゆる集客ビジネスに応用できます。
またマーケティングという観点で、すべての業界に参考になるものがあります。
では、ここから1の『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』について、まとめます。
V字回復を遂げた「3段ロケット構想」とは?
森岡さんはP&Gから、USJに転職していますが、そのときにV字回復させるという覚悟が決まっていたといいます。
P&GのCEOであるグレン・ガンペルと初めて会ったときに、その覚悟と自信があるかを問われた。
「マーケティングの強烈なプロを探している、お前にはそれができるか?」
「日本人はどうしてリスクを恐れて、何も変化を起こさないのだと思うか?」
このときに、森岡さんはこう答えています。
「人がなぜテーマパークに行くかは現時点では分からない。でもその核心的答えにどう辿り着くかを知っています。」
この後、森岡さんはUSJの入社を決めて、なんと入社前までにV字回復のプランを練ったということ。
普通は入社してからやるようなことを、入社前にここまでやるとは、驚きました。
・それを打破し、会社を飛躍させる成長戦略を熟考する
・仮設をいくつか立てる
・成功の角度が高いと思われる1つの戦略を構想
という流れです。
ここで生まれたのが「3段ロケット構想」です。
会社を飛躍させるのには、リスクを伴う。設備投資も必要になる。
一気にジャンプアップできない。だったら、収益構造を大きく変革する「ゲームチェンジャー」を3つ用意しよう。
入社して最初の「地獄の3ヶ月」は、この「3段ロケット構想」が、どういうやり方をすれば投資配分とキャッシュフローの健全な持続ができるのか?その数学的シュミレーションをひたすら繰り返し、やれる方法を見つけ出す。
2. 関西依存の集客構造から脱却する「ハリーポッター」
3. 会社のノウハウを複数の場所に展開
では、この3つをそれぞれ見ていきます。
1. ファミリー層を取り込む「ユニバーサル・ワンダーランド」
テーマパーク事業最大のボリュームゾーンでありながら、USJが長年取り込めていなかったファミリー層。
ここを取り込み、面を広げる。
ここで生まれたのが、「ユニバーサル・ワンダーランド」です。
ここは1段目なので、絶対に失敗できない状況。
極端に少ない投資で、集客とゲストの満足の両立をしなければならない。
「金がない、人もいない、時間もない、でも当て続けなければいけない!」
「映画の専門店」から「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」へ
CEOのグレンが就任してから、ハローキティ、セサミストリート、スヌーピーなどのキャラクターを導入。
これが元々、映画のテーマパークであるUSJの世界観を壊すということで批判を浴びた。
社外だけではなく、社内でもその「こだわり」が深く根付いていた。
ここで森岡さんが考えたのが、「映画の専門店」から「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」へということ。
マーケティングは実戦でのみ鍛えられる実戦学です。本からの理論だけが先行するマーケターは、差別化(たとえば映画だけ)という美しい戦術にあこがれて、おぼれることがある。
差別化すること自体にこだわってしまい、本来の目的を見失う。
人がエンターテイメントに10回消費するところ、映画はそのたった1回。それ以外は、アニメ、ゲーム、コンサートなどに費やす。映画だけではなく最高のエンターテイメントで、「人を感動させる」、これが重要。
これを熱意だけではなく、たとえば年間1,000万人集客させるにはどうすればいいのか?というデータを用いて、熱意とデータで社内外を説得していった。
ここでもたくさんのアイデアで、この危機的状況を乗り切っています。
USJの10周年、ハッピー・サプライズが必要
まずは、必要条件を洗い出し、その条件を達成するアイデアを考える。
条件としては、こちらの3つです。
1) 少ない投資
2) 昨年対比プラス8%の集客をさせる「入り口が広い」
3)「特別な体験」
そこで生まれたのが、アニメ「ワンピース」とのコラボ
とにかく広いファン層を取り込める。実はそれまでもショーはやっていたが、全然認知されていなかった。森岡さん自身もワンピースを60巻すべて読みこんで、関西のTVCMを作り、認知を大きく広げていく。
このあと軌道に乗ってきたと思ったら、そこで2011年に起きた震災で、集客が大幅にダウンした。そこでもワンピースの時と同じように、何が必要条件かを洗い出し、数々のアイデアで乗り切っていたとのこと。
2) 年内に実現可能
3) 設備投資はなし、という条件。
ハローウィンホラーナイトという、ゾンビだらけのイベントが大ヒット。
そして、熱狂的なファンが何百万人といる「モンスターハンター(モンハン)」とのコラボ。ここでは森岡さん自身が、寝ずにモンハンをひたすらやり続けて、熱狂して、モンハンのプロデューサーを口説いたとのこと。
このあとも、「ハリーポッター」までの集客を維持するための「スパイダーマンのリノベーション」など、ヒットを続けていく。それでも、もう1つ大きなホームランが必要な状況。
マーケティングは「既存のアイデアを探して、それを真似る」ことが重要。
困ったら、現場に答えがある。
ここで生まれたのが、「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バックドロップ」
なんと、今まであったジェットコースターを後ろ向きに走らせよう!という奇抜なアイデアを思いついたとのこと。
これが本の表紙とタイトルになっているアトラクションです。
この企画も一筋縄ではいかず、特に安全面を気にする”技術陣”の猛反対にあった。アイデアを否定するのではなく、どうやったらそのアイデアを実現できるのか?ということに全員で立ち返り、企画をヒットさせたとのこと。
2. 関西依存の集客構造から脱却する「ハリーポッター」
1段目のロケットで生み出したキャッシュをテコにして、遠方から集客できる「ものすごい何か」を作って、関西依存の集客から脱却し、全国から幅広く集客できるようにする。
3段ロケットのメインとなる企画として「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター™」が生まれました。
なぜ売上600億円ほどの会社で、このハリーポッターに450億円も投資できたのか?については、緻密な計算が根拠としてありました。それについては、『確率思考の戦略論』で詳しく書かれています。
3. 会社のノウハウを複数の場所に展開
科学的経営管理法にもとづいて、パークを効率的に運営するノウハウを横展開して、会社を大きく飛躍させる。
アイデアを生み出す「イノベーション・フレームワーク」とは?
このように数々のヒットアイデアを生み出せたのは、アイデアマンということではなく、フレームワークが重要とのことです。
1)フレームワーク
良いアイデアに必要な条件は?その条件を満たすアイデアは?を考えるやり方。
まさにこれまでご紹介したようなフレームワークです。
↓
戦略:小さな子連れファミリーを獲得する (それに必要な条件は?リソースは何を使える?)
↓
戦術:新ファミリーエリアの建設 (具体的なアイデア)
アイデアはゼロから作る必要はない。
この世界中のどこかに、アイデアは転がっている。それを使えないか?組みあわせられないか考える。
3)ストック
日頃からストックを蓄えるのが必要。
自分の業務に関することへの情報感度を高める。
森岡さん自身は、エンターテイメントに関する情報はつねにアンテナ張っているとのこと。
4)コミットメント
良いアイデアを思いつくぞ!という気力。
考えつくまで、考えることができるか?これが重要。
この本を通じて、これから自分がしていくアクション
1) 情熱をもつ、何でも自分でやってみる
森岡さんもワンピース全巻を読む、モンハンを知り尽くすことをしてきた。
「まず自分でやってみる」それが大事。
2) 自分の業務にかかわる情報のストックを蓄える
私はITに関わっているので、IT関連の情報にアンテナを張る。トレンドを集めておく。マーケティングについても世の中にアイデアはいっぱい転がっている。インプットの量をもっと増やす。
3) 「イノベーション・フレームワーク」を使う
アイデアを考えるときに、必要条件から考える。
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