USJを復活させた数学マーケティングの力『確率思考の戦略論』

こんにちは、Natsumiです。

みなさんは、USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)に行ったことはありますか?
今週は久しぶりにUSJに来ています。今回のUSJで人生3回目で、前回来たのはもう6-7年くらい前です。

最近USJについての本を3冊読みました。なぜUSJに久々に来たかというと、USJはマーケティングの力で経営変革をしており、どれだけ前と比べて変わっているのか?というのを見たかったからです。

「東のディズニーランド、西のUSJ」と2001年に鳴り物入りでオープンし、世界中のどのテーマパークよりも速いペースで開業からの来場者数1000万人を突破したUSJ。

ピーク時は年間来場者数1100万人を達成したものの、その後は700万人台にまで落ち込んで慢性的な集客不足に苦しみ、倒産の危機に陥りました。そのUSJが、2011年から業績を急上昇させ、奇跡のV字回復を果たしています。
こちらが、USJの入場者数を表すグラフです。

Livedoor記事より引用)

このV字回復の秘訣は、ずばり「マーケティング」です。

「マーケティング」が、経営をここまで大きく変革したという例はめずらしいです。マーケターからしてみると、夢のような事例です。そして、このV字回復の立役者が、チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)である森岡毅さんです。

※森岡さんはUSJを退社され、現在は「刀」という会社を起業されています。

USJのV字回復についての3部作

その森岡さんが、このUSJのV字回復にともなう本を3部作として出されています。

今回は3つ目の数学マーケティングの本、『確率思考の戦略論』についてのお話です。ちなみに、1と2の本についても、以前のブログに書きましたのでリンクを貼っておきますね。

1. 『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』

『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』

2. 『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』

『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』

3. 『確率思考の戦略論』

数学マーケティングについて書かれている。
これはマーケティングに関わる人や、数字(データ)でビジネスに関わる人に読んでほしい本です。

奇跡のV字回復を果たしたUSJですが、森岡さんがこれまで成功させてきたハリーポッターなどの様々なホームラン施策は、すべて狙ってホームランにしていったとのこと。これまでの実績は、64打数63安打(打率.984)という驚異的な成功率。まるで魔法のような話ですが、「タネも仕掛けもあるマジックなのです。」と森岡さんは語っています。

その本質がこの本には書かれていますが、数式などがいっぱいでてきて、少し難解なところもあります。要は売上をあげるために、数字をどう使うか?ということなので、シンプルにまとめてみます。

売上をあげるには?「客数」と「客単価」に分ける。

まずシンプルに売上を分解してみると、「客数」と「客単価」に分けられます。

この「客数」と「客単価」の2つの数字がどうなっているか?をさらに分解していく。そしてそれをどう上げていくか?の施策を練っていく。

「客数」をどう上げていくか?

ここで「客数」をさらに分解してみます。

縦軸に「来場回数/人」
これを上げていくためには、例えばアトラクション、イベントの拡大、年間パスなどの施策があります。

そして横軸に「来場客数」
USJが特に注目したのは、この「来場客数」の拡大、つまり新規顧客の拡大になります。「映画の専門店」から「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」へとコンセプトを変えました。

というのも、それ以前は映画ファンしか取り込めていなかったので、この「来場客数」の母数が少ないとデータから分析。これを拡げていくのが重要と考えたようです。これを拡大していくために、例えばファミリー層、関西以外の集客の施策を打っていきました。

ファミリー層の拡大として、ファミリーエリアを作る。

このファミリーエリア「ユニバーサル・ワンダーランド」ですが、うちの子どももハマっていました。セサミストリートの世界観がカワイイのと、アスレチックやメリーゴーラウンドなど、子ども向けのアトラクションが充実。子どもはここだけで1日遊べるという感じでした。

そして関西以外の集客として、ワンピースなどの人気アニメとのコラボなど、全国から人を呼ぶ施策を打ってきています。今回USJに来て感じたのは、今までと客層が違うということ。
ファミリーは多いし、全国から来ている感じもあるし、そしてアジア圏の外国人もかなり増えている印象を受けました。

単に「来場客数」といっても、これをさらに分解する必要がある。

・年齢別
・性別
・月別
・都道府県別
・国別
・一緒に来ている人数別
・来場目的別 など

これらを分解して、どの数字をどれくらいまで上げていくか?それを上げるには、どのような施策を打つべきか?これを計算して仮説をつくり、施策を打ったら検証する、これを繰り返してきたとのこと。

例えば、「10月の来場者を増やす」ことに注力し、2011年から「ハロウィーン・ホラー・ナイト」がスタートされた。
ゾンビがパーク中を埋め尽くすという企画が大きく当たり、ハロウィーンの集客は、4年ほどで倍増。
2015年の10月には175万人を集客し、あの東京ディズニーランドをもついに抜いて、単月では集客日本一のテーマパークとなりました。

じゃあ「客単価」はどうする?

ちなみにもう1つの要素である「客単価」についても、数字の分析の結果として、入場料の値上げを実施されてきました。どれくらいの入場料であれば、どれくらいの客数が見込めるか?をデータ化。
値下げして客数を増やすのではなく、「客数」と「客単価」の両方を上げるために、数字を分析して、ホームラン施策を実行されてきたとのこと。

売上をあげるには?サイコロで考える。

次に、サイコロを例にして、さらに売上を分解してみます。
売上は、「サイコロの目(自社ブランドが選ばれる確率)× 1人当たりのサイコロを振る回数 × サイコロを振る人数 × 客単価=売り上げ」になります。

消費者は意思決定をする際、頭の中で毎回サイコロを振っています。そのサイコロの目には、自社のブランドと競合先のブランドの名前が書かれています。

わかりやすいようにコンビニを例にして説明します。
例えば、セブン-イレブンを選ぶ確率が50%、ローソンが30%、ファミリーマートが20%で分布しています。つまり、10回のうち半分はセブン-イレブンに行き、3回はローソン、2回はファミリーマートに行くという確率になります。

サイコロの目と、振る回数は「ブランド=認知」によって変わってくる。
これをどう上げていくか?が重要になります。

たとえば、ハリーポッターの新アトラクションで目指したブランド認知率は「90%」だったとのこと。これは200万人の集客に必要な認知率からの逆算。

USJの純広告(TVCMなど)で目指せるのは、認知率75%まで。
それ以上は2倍の費用がかかる。費用に対して、認知率伸長の効果は逓減していくから。

残り15%は、デジタルマーケティングとPRで埋めることを検討した。
じゃあ、どうすればPR旋風を巻き起こせるか?を考えて、「USJを圧倒的な成長企業としてアピールする。本をベストセラーにする。」ことを目指した。

2014年7月のオープンに向けて逆算して、最初の『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』を書いたとのこと。その本のおかげで各方面からの問い合わせが入るようになった。
うれしい誤算として、安倍首相とケネディさんがUSJに来場してくれた。これもあって、さらにPR旋風がまきおこり、認知率は100%になったとのことです。

この本では、もっと深い数学マーケティングのことが書かれていますので、詳細を知りたいかたは本を読んでみて下さい。私も1度で理解できなかったので、また読み返していきたいです。

記事が気に入ったらシェアお願いします!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください