世界をちょっとSLOWに

こんにちは、”朝5時ブログの女” なつみっくすです。

今日もSOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYAのイベントについて、書きたいと思います。

「SLOW LABEL」の 栗栖良依さんがゲストのセッションでした。一言で言うと、心が震える感じでした。自分の与えられた環境に目を向けて、自分には何ができるか、何をしたいかを考えること、それから今この瞬間を大切にすること。そんなことを感じました。

イベントページに説明が載っていますので、引用します。

2010年、私は骨肉腫を患い右下肢機能全廃の障害者になりました。振り返れば、それまでの私は夢の実現に向けてがむしゃらに走り続けた人生を送ってきたように思います。
右脚の障害によって走ることのできなくなってからは、ゆっくりと目の前の一歩一歩を大切に生きるようになりました。

そして今、私は「SLOW」をコンセプトに、国内外で活躍するアーティストや障害のある人たちと一緒に、多様性と調和のとれた社会の実現に向けた様々な活動を多方面で展開しています。

特に近年は、「SLOW CIRCUS PROJECT」という新たなプロジェクトを立ち上げ、シルク・ドゥ・ソレイユが世界各地のマイノリティのエンパワメントとコミュニティビルディングを目的に実施しているソーシャルサーカスを国内に普及する活動に力を注いでいます。

今回は、この「SLOW」という切り口から東京2020とその先の社会に向けて、私たちが取り組んでいることをご紹介したいと思います。

一番印象的なプロジェクトとしては、リオのパラリンピックでの東京プレゼンテーションの演出。こちらがYoutubeにある動画です。

めちゃくちゃかっこいいんです。私は、これに出演している車椅子のダンサー、 神原健太さんのパフォーマンスを以前ライブで観たことがあり、感動しました。

SLOW LABEL立ち上げ

このSLOW LABELを立ち上げた栗栖さん。人生の転機となった、骨肉腫を患う前のお写真を見せていただきながら、急に訪れた病気のことをお話いただきました。

病気が発見されたときには生死をさまようような状態だったとのことです。そこから、右脚が動かなくなるという障害を負い、見える景色が完全に変わったそうです。このイベントをやった渋谷の街も、それまでは普通に遊びに来ていたのに、一切来れなくなってしまった。

そこから、栗栖さんが立ち上げたのが、SLOW LABEL

「障害者の視点で創っていくのが、おもしろいんです!」と、すごくワクワクした表情でお話されている姿が、印象的でした。

こちらが、ヨコハマ・パラトリエンナーレのお話。

「障害者」と「多様な分野のプロフェッショナル」による現代アートの国際展。 「障害者が出演するから”パラ”じゃなくて、障害者の視点で創るから”パラ”なんです」とおっしゃっていました。

単に出演することに意味があるんじゃなくて、障害者の視点で、他の人にはないクリエイティブなものを創れるということ。微妙なニュアンスのちがいだけど、その考え方が大切ということでした。

アクセシビリティの課題

このようなアートの祭典を創るまでには、多くの課題があったとのことで、その大きな1つが「アクセシビリティ」。

まずプレイヤーがなかなか集まらない。その理由が「アクセシビリティ」ということに、気づいたそうです。。物理的に移動手段がない、精神的バリアや、情報のバリアもあるといいます。

施設での情報も行き届いてなく、インターネットでの情報も届いていない。かなりの情報格差を感じたそうです。

このアクセシビリティの課題に対して、環境を整備するための試みを始められたそうです。そのなかでも、アクセスコーディネーターやアカンパニストの存在が大きかった。

  • アクセスコーディネーター: 公演におけるアクセシビリティ環境を考え構築する担当
  • アカンパニスト: 伴奏者の意味。『伴奏することで相手を引き立てたり演奏しやすくしたりする』 担当。

それまで無かったこの役割をもつ方々によって、アクセシビリティの課題が少しずつ解けていったそうです。

さきほどのリオのパラリンピックでの、アクセスコーディネーター、アカンパニストの方のご活躍のお話や、劣悪な気候や現場のなかで、どのように乗り越えて、リハーサルをやっていたか、というお話がありました。

ホテルの環境(トイレやお風呂場)なども、どんな設備が必要かは、その人によって違う。それを事前に丁寧にヒアリングして準備しておく。現場でも、全盲の方にはマンツーマンでサポートする人を付ける。日本からの移動や現場の状況も過酷だったなかでのパフォーマンスだったそうです。

NEW RULES – 新しい価値観「スローな世界」

SLOW LABELでは、ソーシャルサーカスの研究を2017年から始められているそうです。

ソーシャルサーカスとは、ヨーロッパで25年以上前に始まった社会的(ソーシャル)な問題を解決するためのサーカスです。経済的貧困・コミュニケーション機会の少なさ・身体障害などなど世界中の問題に対して、サーカスが役に立っています。

SLOW LABELでは、誰でも参加できるソーシャルサーカスのワークショップをされています。詳細はWEBに載っています。

さいごに、今回のSOCIAL INNOVATION WEEKのテーマである、NEW RULES – 新しい価値観-について、お話がありました。

栗栖さんは、これを新しい型/手法をつくりだす、

FASTからSLOWへ

SLOW LABELがめざしているのは、多様性と調和のある世界。
アートの力で国や分野をこえた共創をうみだす。そして誰もが自分らしく生きられるスローな世界。

「障害者の視点でつくりだすから、おもしろいんです」というのは、改めて最後にも強調されていました。

そして、「私は、昔に戻りたいとは全く思わないです。」とすごくワクワクした表情でお話されているのが、ものすごく印象的でした。うまく言葉にできないのですが、この言葉に心震える感じでした。

SLOW LABEL WEBより

自分の与えられた環境に目を向けて、自分には何ができるか、何をしたいかを考えることの大切さを感じました。そして、今この瞬間を楽しむこと、ワクワクすることにフル稼働して生きること。色んなことを考えさせていただける、すばらしいセッションでした。

ありがとうございました!

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2 Comments

竹内啓二

貴重な情報ありがとうございます。
大阪での取組みがあればぜひ参加します。
障害者となった後の見える景色の一変。
かつての居場所に行けなくなった無念。
経験者として痛いほど分かります。
マイノリティとして何ができるか?何のために生きているか?私はslowでなく、おそらく逆に生き急いで、もがいて、トンネルの中で焦っている状態です。
ただ、事故後に自分の中に芽生えている今後の人生の軸のひとつである障害者支援。
同じ立場だからこそ分かち合える共感、共創など、支え合い、お互いのアップデートに寄与することが、自分の使命なのかな、とおぼろげながら思案中です。
考えるだけでは何も変わらず動きます。

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Natsumi Suzuki

竹内さん、コメントありがとうございます。ほんとに栗栖さんのお話には心打たれました。参加して良かったです。竹内さんの活動に勇気づけられる人がいっぱい居ると思います。心より応援してます!

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