こんにちは、”朝5時ブログの女” なつみです。
今日は、『アフターデジタル』の本を読んだので、その話を書きたいと思います。
この本の著者は『モチベーション革命』『ITビジネスの原理』 などを書かれている尾原 和啓さん、そしてビービットの藤井 保文さん(NewsPicksで中国ビジネスのプロピッカーをされているという情報もあり)のお二人。私は尾原さんの著書が好きで、その中でも特に『モチベーション革命』が好きです。ITのトレンドを分かりやすく解説してくれながら、その中で私たちが大切にすべきことに気づかさせてくれる、そんな所が好きです。
そして、けんすうさんもこの前Twitterでおススメされていたのが『アフターデジタル』
「アフターデジタル」って何?
まず最初に「アフターデジタル」って何?という話から。
図で示すと、こういうことらしい。
「アフターデジタル」では「リアル世界がデジタル世界に包含される」。あらゆるモノがモバイル決済やIoTによって常時オンラインに接続している状態。
ちなみに用語が混在していますが、
- リアル(オフライン)
- デジタル(オンライン)
と理解しています。
「ビフォアデジタル」では、リアル店舗や人ベースでいつも会えるお客様が、たまにデジタルに来る、という認識だった。リアル前提で、デジタルが付加価値になっていた。これが「アフターデジタル」では、顧客とはデジタルで絶えず接点があり、たまにデジタルを利用したリアル店舗や人を訪問してくれる、という状態になる。
ビフォアデジタルからアフターデジタルは、こちらのキーワードでも表現できます。
O2O(Online to Offline) → OMO(Online Merges with Offline)
O2OとOMOの違い
O2OとOMOの違いが、そのままビフォアデジタルとアフターデジタルの違いになると理解しています。
- O2O (Online to Offline) :オンラインとオフラインを分けて考える。オンラインからオフラインの店舗等へとユーザーアクションを繋げること。
- OMO (Online Merges with Offline):オンラインとオフラインは分けて考えない。オンラインがオフラインを包含している。あくまでUX(User Experience、ユーザー体験)が主軸。あらゆるユーザー行動をデータ化して集約し、ユーザー体験を高めるマーケティングを行うことが肝になる。
いくつか他にもキーワードがあって、それも書いておきます。
金融資本主義 → データ資本主義
単一接点型 → 常時寄り添い型(体験向上型)
とにかく「データ」が重要になるということと、ユーザーの体験をいかに向上していくかという観点で、1つの接点という点で考えるのではなく、線で体験を考えていくということ。
この本では、アフターデジタルの世界が進んでいる、エストニア、スウェーデン、中国の事例がいくつか載っています。
エストニアは、プログラミングとかIT教育も盛んで、ここ1年ですごく耳にするようになりました。スウェーデンは人体にチップを埋め込んで、 乗車券や入退室管理などに利用され始めている。 中国は、キャッシュレス社会がかなり進んでいることや、信用スコアが見える化されて、中国人のマナーが良くなっているそうです。
“デジタルは人の善さを引き出し、コツコツが認められる社会のために”
この本の「あとがき」に書かれていた尾原さんの言葉が、すごく良くって、もう「あとがき」だけ読めばいいくらいかもしれない、と思いました。
ちなみに、尾原さんは本を「あとがき」から読む派らしく、そんな記事を以前読みました。本の「はじめに」は、その人の本を書くことになった理由とか、その人のルーツが垣間見れて、「あとがき」は、本で結局言いたかったことは何か、をつかめる気がする。
尾原さんが「あとがき」のタイトルに書かれていたことを引用します。
デジタルは人の善さを引き出し、コツコツが認められる社会のために
まさにこの一言に尽きる気がします。というか、そう信じたい。
尾原さん曰く、エストニア、中国などの事例を見て、彼らは企業だけではなく、国のあり方をも変える思いでやってきている。私たちはどこに向かうんだっけ?という「Why」と、どうやって?という「How」が大切。
「変化する時代に地図は役に立たず、必要なのはコンパスだ」
MITメディアラボの所長 伊藤穣一さんの言葉
これを意識していかないと、テクノロジーが手段ではなく目的になってしまう。
AIができないこと
昨日AIについてのイベントを運営していて、そこで話があった「AIができないこと」の話がおもしろかったので、書いておきます。
AIができないこと
- クリエイティブ
- マネジメント
- ホスピタリティ
の3つだそうです。そして、AIが持てないのは「目標」
この本で書かれているのは、AIなどのテクノロジーによって便利な世の中になるけど、それによって引き出されるべきは人間が本来持っている善さ。人と人とのコミュニケーションや、つながり。アフターデジタルの時代には、データをフル活用したホスピタリティ(おもてなし)などが大切になる。
たとえば、カフェで「カフェラテは330円です」「お釣りは170円です」というやり取りが、ビフォアデジタルの時代。アフターデジタルの時代では、店舗に入って顔認識で、来店記録や注文記録が見れて、スピーディーにキャッシュレス決済できた上で、「普段はロースト強めがお好きなんですね。今アラビカで、すごくいい豆が入ったばかりですよ」というホスピタリティができる。
キャッシュレスなどで、どんどん「無人化」が進んでいるけど、それについてTwitterの共同創業者であるジャック・ドーシーが言っていることが本の中で書かれており、この捉え方がいいなと思ったので引用します。
ドーシーは「シンプリファイズ・ザ・ワールド」と呼んでいます。ドーシーは、「決済という作業は、商品を売る側と購入する人が仕方なくやらなければいけない行為で、もしこれを短縮したり不可視化できたりすれば、買い物という行為は本来の人間対人間のコミュニケーションや物語の交換に戻って、売りたい人と買いたい人の意識が一瞬でつながることができる」と話しています。
テクノロジーのトレンドが分かるだけではなく、人としての大切なことに改めて気づかされました。ありがとうございます!
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