『ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか』

こんにちは、Natsumiです。

 
先日のブログで、石巻を訪れたヤフーアカデミア合宿のことを書きました。
ヤフーアカデミア合宿「被災地から創る未来 ~Change Makerになる~」2日目

 
そのときに、ハーバードビジネススクールの学生が東北に学びに来るプログラムがある、という話を聞きました。
しかも、それは2012年以降、いま6年も続けられている重要なプログラムになっているとのこと。

 
みなさんは、ご存知でしたか?
わたしは、全然知りませんでした。

 
そこで疑問におもったのが「ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか?」ということ。
それを解説している本がありましたので、読んでみました。

 
まず初めに、ハーバードビジネススクールをご説明させてください。

 
ハーバードビジネススクール(通称HBS)とは?

 
「世界を変えるリーダーの育成」を理念としている、ハーバード大学の経営大学院である。
最も伝統的なビジネススクールのひとつ。
Business Weekの2016年のランキングでは全米で第1位。
特にケースメソッド方式(事例研究法)を授業スタイルとして採用したことで有名である。

 
・HBSの卒業生で、代表的な経営者

 
三木谷さんなど日本を代表する経営者がたくさんいますが、その一部をご紹介します。その他にもブッシュ元アメリカ大統領などもいます。
 
三木谷浩史(1993):楽天創業者・代表取締役会長兼社長
新浪剛史(1991):ローソン代表取締役社長
堀義人(1991):グロービス代表取締役
樋口泰行(1991):パナソニック専務・コネクティッドソリューションズ社社長、元マイクロソフト日本法人社長

 
新浪さんのあるインタビュー記事によると「ケーススタディ」が、今のビジネス経営にも役立っているとのこと。

 
“HBSでは、知識というよりも、瞬間的に物事を考え、判断することを徹底的に訓練させられます。
経営に関する知識を暗記する・覚えるというよりは、モノの考え方を、常にいろいろな角度から見て、解決方法を考えろ、という内容です。
こうして瞬間的に考えられる思考回路を鍛えられるので、何が問題で、どう課題を解決しなきゃいけないのかを、ケーススタディーをこなしながら学び、それが結果として知恵になってくるのだと思います。”

 
 

ケーススタディを超えた「どっぷり浸かって経験するプログラム」

 

ケーススタディというのは、いわゆる「事例研究」。
ある企業などの事例をもとに、その企業がもっている課題をどう解決するかを考え、解決法を導きだす。

 
これを進化させたのが「フィールド・プログラム」
現場での実践や、自己理解を重視するためにあたらしく開発された。
これはHBSが世界金融危機の震源地となったアメリカの金融業界に多くの卒業生をだしていたことへの、深い反省があったからできたプログラムのようです。

 
「フィールド・プログラム」のひとつとして、2012年以来、日本の東北地方に学生を派遣して現地で学ぶ授業「ジャパンIXP」が開催されている。

 
IXPとは?
Immersion Experience Program、「どっぷり浸かって経験するプログラム」の略。
ある地域に滞在し、特定のテーマについて学ぶ実践型の選択科目である。
このIXPは、ハリケーン・カトリーナの被災地や、ハイチ地震の被災地でも行われているが、日本の東北だけが6年連続開催になっている。

 
・「人生観を変える経験」になる
このジャパンIXPに参加した学生は、HBSの2年間のなかで、最も印象深く「人生観を変える経験」だったと言うとのこと。
わたしも3日間という短い時間ながらも、、石巻と女川に行って、復興に取りくんでいるリーダーの話を聞き、その地域を肌で感じることができました。このHBSの学生の「人生観を変える経験」という発言に、すごく共感しました。

 
Youtubeに、このジャパンIXPの様子をまとめた動画もありました。

 
 

Knowing、Doing、Beingという新たなフレームワーク

 
Knowing(知識)→ 技
Doing(実践)→ 体
Being(価値観、信念)→ 心

 
日本でいう「心・技・体」の考えかた。
まさにこれは、わたしたちが石巻のヤフーアカデミア合宿で学んだことですね。

 
このBeing(価値観、信念)がなければ、Knowingの知識、スキルも活かせない、Doingの実践もできない。

 
これまでの教育は、事実、フレームワーク、理論をおしえて「Knowing」に焦点をあてていた。
よりスキルや能力の開発につながるような実践「Doing」の場を増やし、またすべての行動のベースとなる価値観、信念の認識を深める「自分が何者であるかを知る(Being)教育」を行っていくべきという結論にいたった。

 
「Doing」と「Being」に焦点をあてたプログラムが、Immersion Experience Program(IXP)「どっぷり浸かって経験するプログラム」である。

 
ケースとなった東北の企業、組織

 
・宮城県山元町「イチゴ農園GRA」
・宮城県石巻市蛤浜「Cafeはまぐり堂」
・宮城県仙台市「秋保ワイナリー」
・宮城県女川町「南三陸石けん工房」
・福島県二本松市「大七酒造」
・宮城県南三陸町「小野花匠園」
・宮城県石巻市「フィッシャーマンジャパン」
・宮城県「女川町」
・宮城県 気仙沼市「気仙沼ニッティング」など

 
わたしがお話をお伺いした「Cafeはまぐり堂」や「女川町」以外にも、たくさんの起業家がすばらしい取りくみをしていることを知りました。もっとそれぞれの取りくみを深く知ってみたいと思いました。
 
 

ジャパンIXPがもたらしたもの

 
・真のリーダーシップとアントレプレナーシップ(起業家精神)を学び、自分を知る

 
ジャパンIXP参加者のコメント
 
“なぜ東北で次々と新しい事業が生まれてきたのか、それは東北という地で立ち上がった起業家たちのリーダーシップがあったからに他なりません。どんなに投資が集まろうとも、結局は事業を成し遂げる人、リーダーがいなければ何も始まらない。また社会貢献や社会に対するインパクトというものに人は充足感やモチベーションを持つようになってきている。
お金ではないこうした新しい通貨を提供できることが、これからのリーダーに求められていると実感した。”

 
・どろんこで生々しい起業家のリアルを知る

 
ジャパンIXPで訪れている起業家は若い。そして彼らが手がけるのは、普通のビジネスセオリーではありえない、外れたビジネスばかり。
 
たとえば、蛤浜の「Cafeはまぐり堂」もそうです。

 
限界集落ではじまり、1年目で1.5万人が訪れメディアの露出も増えたが、地元からの反発がでてきたことで、方針転換をした。メディアに露出しない、人を集めること(利益を追求すること)を目的にしない。

 
驚いたのは、その地元からの反発が、たった2人の意見だったということ。
それでも「なんのために自分はこれを始めたのか?」「蛤浜にとって何がいいのか?」というのを追求して、鹿の狩猟や、鹿肉の価値をあげる、それを革製品としてブランド化する等、の取りくみをされています。

 
そこにはシリコンバレーのような華々しいサクセスストーリーではなく、全部どろんこで、人と組織力と理念と手弁当でやっている。すごく生々しくて、苦悩があり、リアルなストーリーである。

 
だからこそ、訪れるHBSの学生の心を打つし「自分たちは何をするべきか?」「自分は何をしたいのか?」という本質を考えることができる。まさに、わたしたちが石巻に訪れ、感じたことと同じということが分かりました。
 
超エリートと言われるHBSの学生たちが、素直にそして謙虚に、被災地の方々と向きあう姿。
そして単に学ぶというだけではなく、被災地になにか貢献したいという気持ちをもって、ボランティアや事業の提案に励む姿。それを被災地の方々も「よそ者」の意見と捉えずに、真摯に向きあう。
ひと言ではまとめられないですが、「多様性」の大切さを改めて感じました。

 
 

・この本を読んで、これから自分がしていくアクションを3つまとめます。

 
1. 「自分」と向き合う。Being(なりたい姿)を追求していく。
 
2. 石巻で実施したヤフーアカデミアの合宿を、もっと広めていく。
 
3. この本で紹介されている「気仙沼ニッティング」の本を読む。
 

 

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