鹿島アントラーズ 小泉さん、千葉ジェッツ 島田さんの対談「スポーツチームの経営」

こんにちは、”朝5時ブログの女” なつみっくすです。

今週は、幕張メッセで開催されているイベントEXPOに参加していて、その中でいくつかセッションを聴いてきました。

ほとんどが写真撮影NG、記事化もNGのなか、このセッションは「どんどん写真撮って、むしろSNSでも何でもアップして」という登壇者のお二人。

  • (株)メルカリ 取締役社長 兼 COO / (株)鹿島アントラーズFC 代表取締役社長 小泉 文明さん
  • (株)千葉ジェッツふなばし 代表取締役会長 島田 慎二さん

「もっとスポーツ業界をみんなで盛り上げたい」、シンプルで熱い想いが、セッションの始めから伝わってきました。

鹿島アントラーズの経営権を取得したメルカリの小泉氏。フリマアプリで培ったさまざまなノウハウをもつメルカリが、テクノロジーをクラブ経営にどう活かしていくかに注目が集まる。一方でBリーグの総観客動員数1位を成し遂げ、売上を毎年上げ続ける千葉ジェッツを牽引してきた島田氏。このトップ2人が経営ビジョンやスポーツビジネスの可能性について語り合う。 

イベント概要より

サッカーとバスケの違いはありますが、地域に根付いたチームを盛り上げることで、地域創生、そして日本の活性化につなげたいという想いは共通してるお二人。すごくおもしろかったです。

鹿島アントラーズで、守りと攻めの改革

そもそも、なぜ小泉さんが鹿島アントラーズの経営に乗り出したのか?

メルカリの社長を退任(会長に就任)してまで、鹿島アントラーズの経営者となった小泉さん。ご本人のnoteでも、その意図を語られています。

今回のイベントでも、時代の潮流もあり、大きく2つの理由があるとお話されていました。

  • 5Gのエンタメの可能性をアップデートしたい
  • まちづくりをしたい(5Gでつながっていく、新しいまち)

そして、noteにも書かれているように、守りと攻めの改革を始められているそうです。

  • 守り(フットボールチームの歴史と伝統)
  • 攻め(テクノロジーとビジネス)

スポーツもビジネス。ビジネスとして稼ぐ、そしてクラブを強化する、ファンとのエンゲージメントを高める、この良いループを回していくことが大切。

守りという意味では、アントラーズが大切にしているのが、ジーコ元監督のスピリット。「すべては勝利のために」。

攻めという意味では、仕事に忙殺されている社員の生産性向上から、取り組んでいる。まずは、電話/メールを使っていたものを、コラボレーションツールである「slack」に変えた。そして、これまで紙文化だったものを、紙を撤廃した。ここの改革に、テクノロジーを導入されている。

スタジアムやゲームの変革も、色々と構想されているそうです。

テクノロジーという意味では、NTTドコモがアントラーズとスポンサー契約を締結しました。

小泉さんは、この話もされていて、「5Gの実証実験」を進めていきたいとのこと。

たとえば、顔認証で入場から、スタジアム内のグッズや食事などのあらゆる決済まで、すべてハンズフリー(顔認証)でしたい。パブリックビューイングや、今まで見れていなかった角度や視点で、ゲームを観戦する。それでゲームのダイジェスト動画を配信する、といったお話がありました。

年に30-40試合あるゲームの1試合1試合で、いろんなことを試して、PDCAを回されていくのは、楽しみです。

「地域密着」ではなく「地域愛着」へ

私は、バスケのプロリーグチームである「千葉ジェッツふなばし」について、あまり知らなかったのですが、島田さんのお話が熱かったです。

経営不振で倒産寸前の危機にあったジェッツを、どのように改革していったか?

島田さんいわく、当時は「人気もない、勝てない、資金もない」ので、現在価値としては最低。なので、未来価値として、すべてがうまくいった場合に、3年以内でどのようになっていたいか?というビジョンを話して、スポンサー集めをされていたそうです。

まずは、多くの人にチームを知ってもらう必要があり、そのための資金を何としてでも集める必要があった。

島田さんはスポーツビジネスに大きな可能性を感じ、これが地域創生、日本の活性化につながると考えられている。

「地域密着」ではなく、「地域愛着」へ。

地域に住んでいる人が、このチームに密着してくれるだけではなく、外の人がこのチームに魅せられて、移住してくるなどの効果を期待したいとのこと。地域の経済効果、人口増加につながる。これが、日本全国いろんな場所に、スポーツチームがあることの意味である。

アントラーズのある鹿嶋市は、人口が6万7千人という小さな市であるが、そこにあるカシマスタジアムは、なんと4万人収容。

ジェッツの船橋市は、人口6千万人の大きな市。地域への波及効果は、記事によるとかなり大きい。

ちばぎん総合研究所の試算によると、千葉県内での年間経済波及効果は1シーズン目に15億円、2シーズン目に18億1000万円。過去最高の観客動員数を達成した3シーズン目は20億円を超える。千葉ジェッツのパートナー企業数も1シーズン目の267社から307社、314社と右肩上がりで増加。このうち船橋市内の企業・団体が7割を占めており、地域がチームを支えていることがわかる。

さらに驚くべきは、子どもたちへの影響だ。もともと県内で7000人程だった小学生のミニバスケットボール人口が急増し、今では小学生の野球・サッカーの競技人口を上回って1万3000人程になっているという。

事業構想の記事より

公式マスコットのジャンボくんも、ツイートがんばっている。

https://twitter.com/CHIBAJETS/status/1222348704402665472?s=20

ここまで至るまでに、島田さんのいろいろな苦労がある。

最初は、あえて観客を集めなかった

倒産寸前の危機から、スポンサーがじょじょに集まっても、最初の数シーズンはあえて観客動員に力を注がなかったとのこと。

「プロスポーツクラブは地場産業ですから、お客さんの大半は地元の方々。無理やり来てもらっても、ガラガラの観客席でつまらない試合だったら、2度と観に行かないと思ってしまいます。チームの将来を考えた時に、それは避けたかった。だから、チームの強化を優先しました」

事業構想の記事より

「とにかく3年は我慢して欲しい」と、スポンサーを説得していった。その後、じょじょに魅力的なゲーム、エンタメ、強い選手などがあって、観客動員数が増えていったそうです。

サッカーゲームは見せなくてもいい

アントラーズの小泉さんも、同じように地域のお話をされていて、むしろ「サッカーゲームを見せなくてもいい、と思っている」というお話は、おもしろかったです。

ゲームのある日に、スタジアムの周りを、いろんなショップが取り囲み、この周りで半日楽しめる設計にしたい。サッカーを楽しむパパに連れられて、ママや子供もいっしょに楽しめるなど、ファミリーで楽しめるよう、ゲームだけじゃなく周りも含めた設計を考えているとのこと。

ゲームだけじゃなく、「滞在時間を上げる」ことが目的。

行くキッカケを下げて、新規観客をどう取り込んでいくか? そしてゲームだけじゃなく、その周辺も含めて、どう設計していくか?

「スポンサー」を「パートナー」へ

これまでスポーツのスポンサーは、単にロゴが露出しているだけだった。そうじゃなくて、地域を盛り上げる、新しいビジネスをいっしょに生み出していく「パートナー」という呼び名に変えるというお話をされていた小泉さん。そのために「ビジネスクラブ」というのを作ったそうです。

この話には、島田さんも同じ想いとのこと。

スポーツビジネスに限らないお話で、経営や働き方改革、どう集客していくか、ファンを付けていくか、色んな視点でお話が聞けました。

ありがとうございました!

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2 Comments

竹内啓二

2023年開業の日ハムの新スタジアム、
エスコン フィールドHOKKAIDOをご存知でしょうか?
 
まさに野球目的だけでなく、
通年で旅行者、地域住民など、
世界中の老若男女が安心安全に楽しめる、
全ての方向けの食、周遊、エンタメ、宿泊など含めた、
スポーツを軸とした街づくりの取り組みです。
 
島田由香さんと同会社出身で、
DeNAにも在籍されていた方が、
中心となり推進中の夢のあるPJTです。
 
https://www.hkdballpark.com/

広島や楽天や西武のボールパークなど、
野球界でもますます増えてますね。
 
また、余談ですが“TRAVEL HUB MIX ”という、
旅行者の観光案内所としての機能、
企業や個人向けの体験などを有する
ライブエンタメ施設が東京駅前にあります。

こんな”ハコ”が各スポーツ施設にあっても
面白いかもしれませんね。

https://travelhubmix.dg-1.jp/

MIXの意味合いとしては、以下も包含してます。
 
・M:Meet up(出会い)
・I:Inspiration(刺激)
・X:eXperience(体験)
 
HUCをハブにして、人生という旅を
存分に満喫され、シェアされている
なつ“みっくす“さん。

…いえ、少しコンセプトや言葉が似通っていたもので。。。
 
尚、不格好経営、やっと本が届きましたので週末楽しみに読みます。

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Natsumi Suzuki

日ハムの新スタジアムぜんぜん知りませんでした!!めちゃくちゃ面白いですねー!まさに!!

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