こんにちは、”朝5時ブログの女” なつみっくすです。
昨日は、コミュラボの集まりで、小国士朗さんにお話を聞くことができました。
小国さんは、本にもなっている「注文をまちがえる料理店」や、がんの治療研究を応援するプロジェクト「deleteC」の発起人です。
このツイートの動画、めちゃくちゃかっこいいので、ぜひ観ていただきたい。
「注文をまちがえる料理店」 については、こちらのブログにも書きましたが、
『注文をまちがえる料理店』 社会的ムーブメントになるまで。ざっくり言うと、認知症を馴染みのない人に分かってもらうための「太陽」のアプローチです。
北風と太陽で言うと、たとえば認知症がもたらす厳しい現実をストレートに伝えて「この問題が大変だぞー」と伝えるのが「北風」のアプローチ。この「注文をまちがえる料理店」は、「太陽」のアプローチで、「あ、間違えてもいっか」と、みんなが笑顔になりながら、認知症の方々と、そうでないお客さんが交わっている。
今回お話をお伺いして、小国さんはこの「太陽」のアプローチにこだわっている。暗く、重くなりがちな社会問題をテーマにするときに、それをどうやったら、明るくポジティブに伝えられるか? を考える。
ここが人を巻き込む大きな理由だと思いました。
小国さんの熱意のカケラを、みんなでお話を聞いていましたが、小国さんの話はとにかくおもしろくて、笑いにあふれたイベントでした。
「中途半端なプロ」より「熱狂する素人」がいい
小国さんは、新卒でNHKに入局され、山形の地方局からスタート。その後、東京に異動し、「プロフェッショナルの流儀」などの番組ディレクターをされていました。
ここで大切にされていたことは、「素人」の視点だったそうです。
プロフェッショナルの流儀は、取材相手に40日間密着するドキュメンタリー。取材の1日目の、取材ノート1ページ目を大切にされていた。ここには、「素人」の視点が入っているから。
なぜ、「素人」の視点を大切にされているか?
- 番組視聴者や、そのメッセージを受け取る人は「素人」だから。同じ視点に立てる。素人の心が動かされるメッセージになるから。
- 素人は、違和感に気づくことができるから。
- バカになれるから。
「中途半端なプロ」の視点で、番組やメッセージを作ってしまうと、分かった気になって、素人が心動かされる視点が分からなくなる。
たとえば、「注文をまちがえる料理店」では、初めて認知症の施設を訪れたときに、ハンバーグをお願いしたのにギョウザが出てきた。なのに誰もツッコミしない。素人は、この「違和感」に気づくことができる。こんなこと言っちゃダメかな? とか思わず、バカになって、そのことにツッコミを入れられる。この素人の視点があったから、「注文をまちがえる料理店」が生まれたそうです。
「ラグビーのワールドカップ」でも同じ。初めて観たときに、「日本代表どっち?」と思わず聞いちゃった。なぜなら、日本代表なのに外国人ばっかりなのに「違和感」があったから。この日本代表チームこと、ダイバーシティの象徴だなと思った。 ラグビーの「にわか」もファンと一緒に楽しめる丸の内15丁目PROJECT.が生まれたそうです。ラグビー流 ダイバーシティのリーダー論や、ビジネスコンテンツもあります。
日本は「にわか」ファンを揶揄することもあるけど、「にわか」=素人がもっと楽しんでもいい、そういう空気が広がればいいという小国さんのお話に、共感しました。
「この指とまれ」で人を巻き込むのは、きれいなメッセージではない
「注文をまちがえる料理店」では、小国さんが色んな人を巻き込み、これが社会的ムーブメントになりました。
小国さんいわく、「この指とまれ」方式。
「この指」に込めたメッセージに共感する人に集まってもらう。
このメッセージは、きれいなメッセージではなく、心を動かすメッセージ。
たとえば、「認知症の方がキラキラ輝く社会をつくろう」より、「注文をまちがえる料理店」の方が、心が動かされる。
- 前者は、きれいなメッセージで、世の中にありふれている。
- 後者は、おもしろい。意外性があるし、ワクワクする。
ここのメッセージは、素人視点や、太陽のアプローチを大切にされているからこそ、生まれたものであると感じました。
「見立て」という言葉を多く使われていました。
世の中のことは、「見立て」=モノの見方ひとつで笑いにもなるし、泣けることもある。自分は、どう「見立て」るか? これを考える。
がんの治療研究を応援するプロジェクト「deleteC」でも、扱っているテーマは「がん」なので、眉間にシワを寄せないことを意識したそうです。
「deleteC」~「がんを治せる病気にする」プロジェクトを立ち上げます このプロジェクトは、All-In方式です。 … 企業は商品からCancer=がんの頭文字「C」を消す。 個人はCの消えた商品を買うと売上の一部が治療研究に寄付される。
まさか、あのCCレモンから、Cが消えるなんて。びっくりしました。
これも素人視点で、バカになったからこそ、サントリーさんに持っていけたそうです。(プロだと、Cを消してくださいとクライアントに言えない)
企業側も「がん」に関しては素人。なので、同じ目線で話ができる。いっしょにバンドを作る、バンド仲間のような感覚だそうです。
自分たちがやるバリュー(行動規範)は、「明るく、軽く、やわらかく」。他でも多くやられている「がん」の暗い、重い、硬いイメージとは全く逆です。ここにこそ、自分たちがやる意味がある、役割がある。
なんで、自分たちがやる意味があるのか?
ここを自問自答するのは、改めて大切だなと思いました。
「型破り」は「型」を知ってるからできる
「なんでこんなにも、心を動かすアイデアが生まれるのか?」「 どうやって、アイデアを育てているのか?」について、質問してみました。
「型破り」は、「型」を知っているからこそできる。
という言葉がある。小国さんにとっての「型」は、NHK時代につくられた。ここには、圧倒的な「量」があるから。ひたすら過去の映像をすべて観て、それを全部ナレーションを書き起こしして、自分がどんなシーンで心が動いたかをチェックしていったそうです。
自称「構造フェチ」で、ドキュメンタリー番組がどんな構造で出来ているか?この「型」を学んでいって、まずはその「型」どおりに作ってみる。それを繰り返していくと、アイデアの精度が上がっていく。
「自分はこのアイデアによって、どういう風景を見たいか?」これを絵でイメージしていく。
秋元康さんが言っているように「カルピスの原液は濃くないと広まらない」この原液をいかに作っていくか? これを大切にされているそうです。
グラレコをしゅずいさんが描いてくれました。このブログには書ききれなかった小国さんの熱意のカケラが、詰まっています。
小国さんは、ものすごくフラットな方。そして、深刻になりそうなテーマでも、明るく、おもしろく話をしてくれる。あったかいイベントでした。
ありがとうございました!
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